南米エクアドル最大の都市グアヤキルは3月下旬、新型コロナウイルス感染拡大によって世界にその惨状が伝えられるほどの打撃を受けた。医療現場は崩壊し、市民は愛する家族の亡きがらを、時には照りつける太陽の下に何日も放置せざるを得なかった。都市設計者のエクトル・ウーゴ氏(32)が新型コロナを追跡するマップを作り始めたのはその頃だ。同氏は保健省のデータを利用して呼吸器症状で病院を受診した患者の住所を突き止め、偶然見つけた緊急通報(911)の記録から呼吸困難に陥った人々の情報を集めた。同氏はこれらのデータをマップに入力し、市内で最もコロナがまん延する地区を特定。次にウイルスが広がる場所を予想した。「目に見えない無言の敵がこの都市に忍び寄っていた」とウーゴ氏は言う。「敵を可視化するメカニズムがわれわれには必要だった」