テスラが近く「モデルS」の生産を停止することで、現代において最も影響力があるとされる車はその歴史に幕を下ろす。モデルSは長年にわたり、この米電気自動車(EV)大手の生命線だった。アストンマーティンをほうふつとさせる低く構えた外観、超高級車「ブガッティ」に匹敵する加速性能、そして従来の自動車販売店よりもアップルストアにふさわしいようなハイテク内装を備えた完全電動のセダンは、自動車業界がそれまで見たことのないものだった。販売台数は決して多くはなかったが、その影響は世界を変えるものだった。これは、当時ライバル企業から実質的にはノートパソコンのバッテリーに過ぎないと一蹴されていたものを動力源とする車両で会社を築ける、というイーロン・マスク氏の賭けだった。