今年初めに、バイオ技術分野以外の人々でモデルナ社の名を聞いたことのある者は、ほとんどいなかった。ボストン近郊にある新時代を印象付ける社名のこの企業は、成功するかどうか分からない新しい手法で医薬品開発に取り組んでいる。この業界でモデルナの名をはっきり認識している者の多くは、その将来性に疑問を抱いていた。投資家らは、まだ1つも医薬品を生産していないモデルナにほとんど関心を示していなかった。モデルナ社とその従業員らは、これ以外にも幾つかの要因によって圧迫されていた。同社最高経営責任者(CEO)のステファン・バンセル氏は、これまでの9年間に、マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を構える同社内にストレス度の高い環境を作ってきた。現旧のスタッフらによれば、それは高い期待値、従業員に対する厳しい批判、高い離職率などに特徴付けられた環境だった。バンセル氏がグループミーティングで行う一部の部下への忠告は、作業の改善につながることもあったが、離職を招くこともあった。
コロナワクチン開発、意外な先行企業モデルナとは
認可医薬品は1つもない製薬ベンチャーの新型コロナワクチン、最終段階の治験を今月開始予定
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