自殺を思いとどまったわたしは、その翌日、会社で人事部長のエヴァンから自己啓発セミナーのチケットを受け取る。そうしたセミナーには懐疑的だったが、なにか新しいことに挑戦してもいいかなという気になったのだ。セミナー終了後の舞台裏で、わたしは師と出会う。『答えはすでにあなたの心の中にある』からの抜粋・要約の第2回。
雷鳴のようなスタンディング・オベーションを受けたあとで、講師はステージをおりた。黙ってその場にすわっていると、心につぎつぎに疑問が浮かびあがってきた。
「わたしはなぜ人生に大きな虚しさを感じていたのだろう?」
どんなに金を稼いでも、成功しても、その感じは消えてくれなかった。わたしが選んだキャリアはそうするように決められ(期待され)ていたものだろうか、それとも“ライフワーク”になるように運命づけられているほかのなにかがあったのだろうか、とも思った。おなじように、人生で真の愛を見つけられるのだろうか、心の友は実在するのだろうか、とも自問した。ほんのみじかいあいだ黙ってじっとしているだけで疑問がつぎつぎに浮かびあがるとは、じつに興味ぶかかった。
もっと深く掘りさげていくと、さらに疑問が浮上してきた。人生がどう展開するかについて、わたしに選択肢はあったのだろうか?それとも、すべては何か大いなるものの計画によってあらかじめ決まっていたのか?選択肢があったのなら、なににはばまれて事態をよりよくする手段を講じられなかったのだろう?ほんとうにもっといい人生が待っていたのだろうか?あるいは、それは希望的観測にすぎないのか?
夫婦間の成りゆきはわたしの個人的選択――家族よりビジネス優先、わたしの要求が最優先、思いやりや気遣いを発揮するより自分のやりたいことをやる――を反映したものにほかならなかったのだろうか?とも考えた。眼を閉じて、そういった重要な疑問に思いをめぐらした。やがて、わたしはいままで一度もしたことがないことをした。答えをもとめて祈ったのだ。