「真実に取り組もうとしない人があまりに多すぎる。真実への抵抗と向きあうより、ダチョウのように砂のなかに頭を突っこんでしまうほうが楽なのだ。実際のところ、金を稼いだり、いいものを所有したりするのは、なにもわるいことではない。いいものを所有していては、気高く善良な、進化した存在にはなれないというばかげた考えは、いったいだれが思いついたのだろう。すばらしい家をもつ。高級車を運転する。外国を旅する。きれいな服を着る。そういった世俗的な楽しみを味わうなといっているのではない。

 だが、美しさは皮相的なものにすぎないのを忘れないように。そういったものを推進力にしてはいけない。それらを基礎にしてアイデンティティと自尊心をきずいてはならない。それらは長続きしないことをおぼえておかないと。優先順位の問題なのだ――外面的なものの蓄積を最優先させてはいけない。わたしたちは手ぶらでこの世にやってきて、手ぶらで立ち去る。引っ越し用トラックが、墓地に向かう霊柩車のあとを走っているのは見たことがない。これはおぼえておくべきことだ。

 すばらしいものを所有しても、それらに拘束されてはならない。それらを所有しても、所有されてはならない。自分の最高の可能性を見つける、わが身を献身的に他者にささげる、自分自身より大切なものに命を賭けて影響をあたえるといった、もっとはるかに重要な楽しみを人生のおもな目的にする。成功はすばらしいことだが、意義ある人生こそがもっとも重要なのだ」と、彼はふたたび強調していった。