「切らなくていい」
「来なくていい」と言う美容師

──今回の書籍タイトルは『あなたは髪を切らなくても変われる』。これ、美容本の中でもかなり特殊だと思うんです。「切らない」というテーマに設定したのは、何か理由があったんでしょうか?

小西:美容室で働いていると感じるのですが、切らなくてもいい人って、いっぱいいるんです。「変わりたかったら切るしかない」なんてことはなくて。美容師として経験を重ね、自分がつくるスタイルが人から認められていくうちに、「自分が今この女性を切らなくても変われるな」と思ったら、「切らない選択肢」を与えてあげたいと感じるようになりました。今日の美容室代を、他の遊び代や洋服代に回させてあげたほうが、もっとこの人は幸せになれるんじゃないかなって。

前髪は1ヵ月に1回くらいのペースで切ったほうがいいとは思うんですが、全体のカットはそこまで頻繁に切る必要はない。1ヵ月で伸びるのは、せいぜい1.5センチから2センチ程度です。それなら、自分の技術力を上げて、できるだけ来店率を下げてあげたほうが、お客様にとってもお金も時間も浮くし、いいことしかないと思うんです。

だから僕のお客様は、リピートがすごく多いんですが、来店率をあえて下げてもらっています。僕は「来なくていいですよ」って言う美容師なんです(笑)。

もちろん、ショートやボブの方、量が多い方など、1ヵ月~1ヵ月半に1回のペースでカットしたほうがいい人もいます。でも、あまり人から見られるような仕事じゃないとか、結ぶことが多い人なら、そこまでしなくていいと思います。

だって、髪を切らなくても変われる方法はたくさんあるんですよ。だから、まずは自分で努力できるところを努力して、それでも無理な場合は切って変わればいいんじゃないかなと思うんです。

カリスマ美容師が、お客様に<br />「毎月、髪を切りに来なくていい」と言う理由髪の長さを変えなくても、工夫次第でいろんな自分になることができます(本書6~7ページ)