お客様と美容師が
人生を共にしていく
──お客様の髪を切った、その先の生活や人生まで想像するようになった経緯を教えてください。
小西:最初、僕が美容師になりたてのときは、売上もほしいし、切ったら変わるし、たしかに「早く来てください」って言ってたんです。
でも、自分の仕事が評価されて、指名がどんどん増えていったときに気がついたんですよね。本当のことをもっとお客様に伝えていかなきゃいけないって。
それで、お客様を「切らなくてもいい人」と「切ったほうがいい人」に分けるよう、仕事の仕方を変えました。
美容室には、いつも努力されてる方もいれば、「普段何もスタイリングしないんですよ」みたいな方もいる。もちろんそういう方はそういう方で全然いいんですけど、「今だけよければいい」ってわけじゃない。僕ら美容師が、美容室に来てくれたときにかわいくするのは当たり前。でも、帰ったあとに自分でスタイリングできるかどうかもすごく大事じゃないですか。
だって、仕事や子育てで忙しくて美容室に行けない人もいると思うんです。だから、その人のライフスタイルに合わせた髪型を提案してあげたい。できるだけ長く、切らずにキープできるような髪型を提案することもあります。
僕の理想は、「お客様と人生を共にしていく美容師」。だから、そのときだけパッとかわいくするんじゃなくて、家に帰ったあとのことも考える。「彼氏さん、どんな人が好みなんですか?」と聞いたりもします。あとは、たとえば彼氏さんと別れたとき、「次、どんな人に好かれたいですか?」と聞いて、それに合いそうな髪型を提案することもあります。
切ったあとの、その先を考えてあげたほうがお客様も「この人って、そこまで考えてくれるんだな」と思ってくれるんじゃないかなと。