安倍晋三首相は見事な記録を残して退任していく。だが、安倍首相が行った企業改革および金融改革は、爆発的なものというよりは緩やかなものだった。今後進展するか(または後退するか)は、彼の後継者次第だ。欧米諸国の多くが、より広いステークホルダーに対し曖昧な企業義務を示す方向に向かっていることに象徴されるように株主資本主義から離れつつある一方で、日本は逆の方向に進んでいる。「ガバナンス(統治)」と「スチュワードシップ・コード(機関投資家向け行動指針)」の強化により、大企業は伝統的な同族経営者やシニアマネジャーへの見返りを縮小し、株主への責任を強めている。野村資本市場研究所によると、日本の上場企業の株式持ち合いの比率は、安倍政権下でゆっくりとだが一貫して低下している。株式持ち合いは関連会社間で相互に株式を保有することで、物言う株主にとってはいら立たしい障害となってきた。開示制度の改正を加味した後の現在の水準は過去最低水準の13.6%だ。
安倍首相「未完の改革」 運命は後継者次第
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