株価上昇Photo:PIXTA

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀などの中央銀行と争ってはいけない。各国中銀は今年、株式に魔法をかけているが、株価上昇が続いている原因はこの魔法だけではない。

 最近のテクノロジー株の下落にもかかわらず、S&P500種指数は、新型コロナウイルス感染症に対する懸念が投資家を震撼(しんかん)させた2月19日の水準を上回っている。この急回復の理由としてよく挙げられるのが低金利だ。物価連動型米国債の利回りが過去最低のマイナス1.3%程度になっている状況では、S&P500種指数の4%を超える株式益利回りは魅力的に見える。大きな成長のポテンシャルがあるハイテク企業は、最低の長期金利で、さらに上がるはずだ。

 配当先物の下落が妥当だとすれば、投資家は、自身の保有銘柄が今後数年間はあまり投資収益を生まないと理解しているようだ。国際決済銀行(BIS)が今週公表したリポートは、より長期的には事態が正常化することを前提に市場の株価が定まっているとの考えを支持している。

 金融の教科書の基本的な教えに従えば、資産価値は、投資家が安全な商品に投資していたら得られていたはずのリターンを割り引いた、将来のすべての現金リターンからもたらされる。これまでのところ、それは事実に合っているように見える。現在のようにこの割引率が低い場合は、経営陣が明らかに配当金の支払いが少なくなることを警告している場合でも、低利回りの米国債を購入するために株式を売る必要はないかもしれない。

 だが、投資家はこれを過度に真に受けてはいけない。