米国で家計純資産が過去最高を記録したことと過去最大の景気後退が起きている現状は、相いれない組み合わせに見える。だがこれは、第2四半期に起きた事実だ。米連邦準備制度理事会(FRB)は21日、第2四半期の米家計の純資産が、前四半期から6.8%(7兆6000億ドル、約798兆円)増加し、119兆ドルになったと発表した。この額は、昨年第4四半期に記録した過去最高を上回った。そして現在、株価は第2四半期末時点より高い水準にあり、不動産の価値も上昇し続けていることから、家計純資産額がさらに膨らんでいることは間違いない。家計純資産が増加に転じたことは、国内総生産(GDP)が統計を開始して以来70年超の期間の中で最大の落ち込みを記録したという第2四半期の経済状況と対照的だ。GDPは第3四半期に大幅に改善する公算が大きいが、それでもコロナ以前の水準以下にとどまるとみられる。FRBの予想では、完全な回復は来年下期以降になりそうだ。
米家計資産の急増、景気の楽観を助長する恐れ
米国の家計純資産は過去最高を記録、一方で経済への打撃は続く
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