「日本のライバル同士が、デジタル広告のティップスをシェアすべく握手した」「campaign」より

 これはギブソンが提唱した「アフォーダンス理論」を実践している仕掛けともいえます。

 アフォーダンス理論というのは知覚や聴覚などから本能的に生物がそれが何かをとらえる能力とでも言えるでしょうか。現代美術作家がデザインした奇抜なデザインの椅子を見たとき僕らは、たとえそこに「座ってください」という貼紙がなくても、これは座るための道具なのではないかと想像できたりするわけです。

 ウェブの運営をする人はまさにこのように、来訪者に何かを発見をさせる能力が求められています。

 CMやポスターなどトラディショナルな広告を作るとき、広告制作者はその中に自分たちが伝えたいメッセージを詰め込みました。15秒という瞬間や、雑誌や新聞をめくるその瞬間にメッセージを届けなければいけなかったからです。

 しかし、デジタルコンテンツによるコミュニケーションではダイレクトにメッセージを伝えるより、サイトの来訪者に自発的にメッセージに気づいてもらったほうがより効果的です。

 前回、ネットニュースの編集技法について書いたとき指摘したように、ネットに来訪する人は自分で判断することに価値を感じているからです。ウェブコンテンツは一瞬で見てもらうポスターやCMではなく、そこに来てもらって「何かを体験する場」です。その体験を通じて企業が伝えたいメッセージが伝わる仕組みがデザインされるのが理想です。

 昨日のセミナーでは、ウェブコンテンツを作る人はクリエイティブディレクターというよりは、ファシリテーターになって来訪者にヒントを出していく役割を負うべきだという話をしました。結論を出すのは自分ではなく参加者。その状況を導き出すのがファシリテーターの重要な役割です。

「好きだよ」と言わずに、「この人わたしのこと好きなのかも?」と思わせる作戦を考えるといえばもっとわかりやすくなるかもしれませんね。