クリントン米政権で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めていた1990年代終盤、ジャネット・イエレン氏は政界でうまく立ち回る苦労について、夫で経済学者のジョージ・アカロフ氏に打ち明けていた。当時見舞われた政治の嵐は、ここにきて再びイエレン氏の頭痛の種になりつつある。ジョー・バイデン次期大統領の財務長官に決まれば、イエレン氏は30年近いキャリアの中でも、最も政治色の強い役割を果たすことになりそうだ。米経済がちょうど岐路に立ち、ワシントンが深く分断される中で、バイデン氏の政策を策定・擁護していくことがイエレン氏の仕事になる。米政府は今後、景気回復の促進に向けて、どの程度借り入れを行い、財政出動していくべきか。新型コロナウイルス感染の再拡大で足元では減速の兆候が鮮明になっているものの、ワクチンが近く実用化されれば急回復も見込まれる中で、こうした厳しい議論が待ち受けている。
イエレン氏が問われる政治力、強みに変えられるか
米財務長官に就任すれば分断されたワシントンで支出と債務のかじ取り役に
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