走行頻度が高いレールは
数年ごとに交換
今回、報道公開されたのは築地~東銀座間の交差渡り線、いわゆるポイントのレール交換作業である。このポイントは元々、1963年2月の人形町~東銀座間延伸開業時に、東銀座駅で列車を折り返すために設けられたものだが、現在は通常の営業運転では用いられず、事故発生時などに折り返し運転を行う際にのみ使われている。
ポイントは複数のレールで構成されており、全ての列車が通過するレールと、線路を渡る列車だけが通過するレールがある。
東京メトロによれば、走行頻度が多いレールでは数年おき、最も長いレールでも約20年おきに交換する必要があるといい、今回の工事では全長60mにわたるポイント全体のレールを160日間かけて交換するという。公開当日に交換されたのはそのごく一部、レール2本の交換作業である。作業は約30人で行われた。
レール交換はまず、枕木とレールを固定している締結装置の解体から始まる。作業開始から10分ほどで締結装置が外れると、古いレールを撤去する。地上の鉄道の場合、線路脇からクレーン車でつり上げることもできるが、地下鉄トンネル内では大型重機を使うことができないので、山越器と呼ばれる組み立て式の小型手動クレーンでレールをつり上げて移動させる。

そうこうしているうちに、南千住駅に隣接した千住車両基地を出発した保守用車両が新しいレールを搭載して現場に到着した。保守用車両は20~30km/hで走行し、作業箇所を避けるため反対側のレールに転線したり、安全確認のため都度停止したりする必要があるため、約9kmの道のりに30分以上を要する。
保守用車両のクレーンが荷台に載せた新しいレールをつり下ろし、枕木に据え付ける。日比谷線で使われているレールは1m当たり50kgの重さがあり、今回運ばれてきた20mに満たない1本のレールだけでも700kg以上になる。
