新型コロナウイルス禍を受けた原油急落は、ピエール・アンデュラン氏に巨額の利益をもたらした。同氏は長年にわたるコモディティ(商品)投資の冬の時代を生き抜いたほんの一握りのヘッジファンドマネジャーの一人だ。アンデュラン氏は元々、原油に強気な姿勢で知られ、2008年には価格急騰で大きな利益を得た。だが、コロナ感染拡大を受けて中国が一部でロックダウン(都市封鎖)を導入した昨年初頭から、原油の空売りに回った。新型ウイルスが世界全体に拡散すると、原油や他の燃料に対する需要は激減。米原油先物の価格が史上初めてマイナス圏に沈む異例の事態まで招いた。アンデュラン・キャピタル・マネジメント(ロンドン)が扱うアンデュラン氏の旗艦ファンドは、昨年の運用成績がプラス69%だった。内情に詳しい関係者が明らかにした。同ファンドは2018年終盤の原油急落でマイナスに沈んでいた。昨年は2013年のファンド立ち上げ以来、過去最高の成績となり、2年分のマイナスを吹き飛ばした。