公的年金は75歳まで待って「繰り下げ受給」、60歳からの「繰り上げ受給」、結局どっちが得なの?【専門家が解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

公的年金は、受給開始時期を自分で選べる柔軟な制度だ。75歳まで繰り下げれば給付額が増え、60歳に繰り上げれば早期に受け取れる。だが、それぞれにメリットとデメリットがある。税負担の増加や、障害年金が受け取れなくなるリスクなど、知っておくべき注意点を専門家が解説する。※本稿は、経済コラムニストの大江英樹、オフィス・リベルタス代表取締役の大江加代『知らないと損する年金の真実 - 改訂版 2026年新制度対応 - 』(ワニブックス【PLUS】新書)の一部を抜粋・編集したものです。

受給開始は65歳か75歳か
どちらが得策かを見極める

 公的年金という制度は正しく理解するだけではなく、それを上手に活用することが必要です。実際に夫婦(編集部注/共著の両氏)で話し合って公的年金を受け取った経験もある私が考える年金の有効な活用方法について私なりの方法や考え方をお話ししたいと思います。

 ここ数年、繰り下げ受給をする人は増えてきています。厚生年金の場合、70歳時点で繰り下げ受給を選んでいる人は2014年度は1万人でしたが、2023年度は4.1万人ですから9年間で約4倍になっています。(※1)(※2)

 前回の改正で、受給開始時期が75歳まで選べるようになりました。もし受給開始を75歳にすれば受給額は65歳から受け取り始めるのに比べて84%増えます。これだけ増えれば老後の生活はかなりゆとりができると思います。

※1 報酬比例部分の計算(日本年金機構のホームページ)
https://www.nenkin.go.jp/service/yougo/hagyo/hoshuhirei.html

※2 「ユースフル労働統計2023」(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2023/documents/useful2023.pdf