レビュー
「コミュ障」という言葉をよく耳にする。以前は「コミュニケーションに難ありの絡みづらい人」といったイメージが強かったように思うが、明るいイメージのある芸能人などが「実はオタクで超コミュ障で」と意外な面を出すことが増えてからは、マイナスの印象は弱まったように個人的には感じている。
著者の吉田尚記アナウンサーも、「オタク気質のコミュ障」であったようだが、現在の活躍ぶりからは、まったくそんなふうには思えない。吉田氏は今回、本書『元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』を書くにあたって、コミュニケーションを不得手とする人たちを集めて「サロン」をつくったのだという。サロンメンバーと直接コミュニケーションを取り、リアルな悩みを聞いた結果が、本書に反映されている。コミュニケーションが苦手だと自覚する私にとっては「あぁ~、わかるわかる!」の連続だった。
そしてなによりも嬉しいのが、本書で紹介される24の「武器」だ。「発言をオウム返しするだけでいい」「驚きの相づちを打つだけで立派な会話」など、今から使える簡単なものから、ちょっと高度なものまでさまざま紹介されている。「会話はどう転がるかわからないんだから、オチなんてつけなくてもいい」などとも書かれており、「あぁ、なんて優しいんだ」と勇気づけられもした。「こうしなければいけない」という会話・コミュニケーションでの固定観念をやんわりと否定してくれて、「これなら、私もできるかも」と思えることだろう。(泉 未来)