会ったばかりの人にどうでもいい雑談を仕掛けていいものかと、迷ってしまう人もいるかもしれない。だが、重要な話や真剣に話し合いたいテーマに踏み込むのは、もっと親しくなってからにしよう。初対面の知らない人だからこそ、どうでもいい話をすべきなのだ。
◇会話はオチがないから面白い
どうでもいい話を始めにくい理由として、自分から話しかける以上は「オチ」をつけなくてはいけないと思ってしまっているからではないだろうか。だが、会話に「オチ」なんてなくていい。むしろ理想は、話し続けているうちに時間が来て、仕方なく終わるような会話だ。もう少し話していたい、また会いたいとお互いに思えたら最高である。
会話にオチが必要だと思ってしまうのは、会話を「自己表現」の場だと勘違いしてしまっているからだろう。しかし会話は、「自分が一方的に表現する」ものではない。自分が質問する→相手が考えて返してくれる→それをもとに自分がさらに考えて質問する、という繰り返しが基本だ。会話は、始めた時点ではどう転がるかわからず、また終わり方も予測できなくて当然である。すなわち、最初からオチを用意しているというのは、相手の自由な反応を認めていないようなものだ。
◇答えやすい質問は自分も相手もラクにする
初めて会話する相手でほとんど事前情報がない場合は、「誰でも考えずに答えられることを聞く」テクニックが有効だ。例えば、「ご出身はどちらですか?」という質問が挙げられる。これは、当たり障りがなく失礼になる可能性がないこと、そして誰にでも「出身」はあるという2つの点で優れた質問だ。引っ越しが多く、出身地が定かでない人の場合でも、それはそれで相手の貴重な情報を仕入れられたということになる。その他、時事問題や話題の出来事など、ほぼ誰でも知っている質問であれば、少なくとも一往復の会話が成立する。
とはいえ、「ご出身は?」「○○です」「そうですか」で終わってしまう場合もある。そんなときは、「自分がしたい話をまずは相手にしゃべってもらう」といい。もし自分が地元の話をしたいのであれば、「ご出身はどちらなんですか?」→「宮城なんです(黙る)」→「そうですか、私は山梨なんですけど……」という形でつないでいく。
自分の出身地についてなら、どんどん話せるのではないだろうか。どんな観光スポットがあるか、名物は何か、地元を舞台にしたアニメがあって……などと話していくうちに相手が乗ってくれるポイントがあれば、そこから話を広げていけばいい。初対面のうちは、とにかく質問を続け、相手が話し始めるのを待とう。