米チャーチル・キャピタルIVが昨年12月、AT&T傘下の衛星放送大手ディレクTVに買収案を提示したとのニュースが報じられても、チャーチルの株価はほとんど反応しなかった。同社は20億ドル(約2100億円)の手元資金以外に何も資産を持たない特別買収目的会社(SPAC)だ。ところが1月、注目を集めている電気自動車(EV)新興メーカー、ルシッド・モーターズとの間で合併協議を始めたと報道されると、株価は全く異なる動きをした。合併を巡る憶測はオンライン掲示板レディットや他のソーシャルメディア・プラットフォームを駆け巡った。テスラ株の高騰や脱ガソリン社会への期待感がこれを後押しした。トレーダーはさらなる情報をオンラインで探し回り、無数の断片的情報をかき集めて合意間近であると推論した。あるトレーダーは活発な議論に促され、交渉担当者が搭乗していると他のトレーダーたちが推測したジェット機を撮影するため車で空港まで行ったという。