2021年夏の東京オリンピックが開催できるかどうかは、新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けて依然極めて不透明な状況だが、2022年の北京冬季五輪の開会式はわずか1年後に迫っている。そして冬季五輪にも、新型コロナ禍が大きな影を落としつつある。中国の習近平国家主席はここ数日、北京五輪の組織関係者らを盛んに褒めたたえている。そして国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は、北京の準備状況について「ほとんど奇跡だ」と語った。こうした自信の表明は、オリンピック関連組織当局者にとっては普通のことだ。彼らは昨年のほぼ同時期に、2020年の東京五輪が新型コロナ危機の高まりによってコースを外れる可能性を認めることを拒否していた。しかし、昨年3月24日には東京五輪の1年延期が決まった。バッハ会長も習近平氏も、2022年の北京五輪が感染症流行の影響で延期ないし中止される可能性に踏み込んでいない現在の状況は、1年前の東京五輪をめぐる状況と似通っている。