充電式リチウムイオン電池は、1991年に携帯ビデオカメラに初めて採用された。ノートPCがすぐに続いた。この電池は10年後、スマートフォンやウエアラブル端末に電力を供給することで、アップルなど巨大IT(情報技術)企業の急成長を可能にし、さらに電気自動車(EV)へと用途を広げた。その間、基本的な技術はほとんど変わらなかった。リチウムイオンが電解液を通って正極から負極に移動し、また戻ってくるというものだ。  だが、これは始まりに過ぎない。コストが急低下した10年間を経て電池は転機を迎えた。もはや消費者向け製品だけではない。世界の電力の使い方に大変革を起こそうとしている。