外国為替市場が静かだ。静かすぎるかもしれない。退屈している為替トレーダーなら誰でも言うだろうが、年初からのあらゆる動きは株式市場で起きている。外為市場では通常、個人のトレーダーによる取引が活発だ。だが、株式市場でインターネット上の情報拡散により特定銘柄が急騰する「ミーム」株現象が起きる中、外為市場はおおむね閑散としている。だが為替相場のボラティリティーが上昇するリスクは、外国資産を有する投資家や企業の財務担当者にとっては検討するに値する。普通は通貨よりも株式の方が値動きが大きい。CBOEボラティリティー指数――S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティーを算出するVIX指数で「恐怖指数」として知られる――と、同様にユーロ・ドルのオプション取引のボラティリティーを算出するCBOEユーロカレンシー・ボラティリティー指数との差は、近年の水準と比較すると大きい。他の通貨ペアのボラティリティーも同様だ。