原油の動きが活発だ。原油先物はブレントとWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)がともに1バレル=60ドルの節目を突破。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以前の水準に戻った。だが、不可解な謎がその回復に影を落としている。未解決の問題とは、国際エネルギー機関(IEA)のデータから姿を消し、「行方不明」とされた原油の量に関係している。このミステリーは2、3年おきに姿を現す。特にエネルギー市場がショックを受けた時に現れる。例えば、IEAは原油需給見通しに基づき、2020年上半期に世界原油在庫が13億9000万バレル増加したと推計。このうち約4分の1は経済協力開発機構(OECD)加盟国に備蓄され、8%は洋上貯蔵施設にあるか輸送中で、残る68%は行き先が分からなかった。