世界のジェット燃料はグリーン化できるのか。温室効果ガスの排出量を2050年までに正味ゼロにすることが求められている中、航空会社は「持続可能な航空燃料(SAF)」の試験的な利用に乗り出している。中でも最有力なのが、主に食用油や動物性脂肪、農作物、未利用木材を原料とするバイオ燃料だ。ただし、供給不足とコストの高さから、ごく一部の便でしか利用できていない。さまざまな種類の代替燃料によって、今後10年で空の旅は一段と環境にやさしくなる可能性がある。SAFは、何十年もジェットエンジンに使用されてきた石油精製燃料「ケロシン」を模した燃料だ。さまざまなタイプのSAFが存在するが、現在使用されているのはバイオ燃料だけだ。バイオ燃料は、従来のジェット燃料に比べて二酸化炭素(CO2)排出量を最大80%削減できる。国際基準では、ケロシンに最大50%バイオ燃料を混合することが認められているが、英航空機用エンジンメーカー大手ロールス・ロイスとエネルギー大手ロイヤル・ダッチ・シェルの最近のテストでは、バイオ燃料を100%使用しても安全なことが示された。