『ストレスフリー超大全』の著者で精神科医の樺沢紫苑さんは、借金玉さんの著書『発達障害サバイバルガイド』について、「このリアリティ、具体性は当事者の経験あってのもの。精神科医や研究者には、絶対に書けません」と絶賛しています。
今回はYouTubeで実現した2人の対談「発達障害サバイバルライブ!(動画)」の内容を抜粋・編集してお届けします。(撮影/疋田千里)

精神科医が語る「発達障害だと恋愛や結婚は無理なのか」への納得の回答

(視聴者の質問)
「職場でもプライベートでも周囲に男性しかいない生活なので、全く出会いがありません。発達障害でも恋愛、結婚はできますか?」(女性)

コンフォートゾーンを出よ

(二人の回答)
借金玉 この質問を「健常者でも恋愛や結婚はできるか?」と読み替えてみましょう。答えは「できない人はざらにいる」。そういうことだと思います。

 恋愛や結婚とは、誰にでもできる可能性があり、また誰でもできなくなる可能性があるものです。例えば僕の場合、外見は太っていて、素顔も決して優れているとは言えない。

 顔がよくて運動のできるやつがモテる、高校のクラスのような環境では、僕は絶対に選ばれません。でも、趣味の集まりや同じ価値観を持つ仲間の中だと違う可能性が出てくる。「こいついいな」と思ってもらえる場合もあります。行動範囲を広げて、自分に合う場所を見つけましょう。

樺沢「短所がないから」という理由で、人が人を好きになることは、まずありません。自分に刺さる長所があれば、それを好きになってしまうのが、恋愛というものです。何か一つでいいので、ほかの人より魅力的な部分、得意な部分を磨いていくのがいいと思います。

 それから、やはりコミュニティに参加しないと出会いは発生しません。今ならリアルでもネット上でも、検索で山ほど見つけられるでしょう。私は「コンフォートゾーンを出る」という言葉で表現しているのですが、自分の知らない人がいる世界に入っていかない限り、新しい出会いは生まれません。初めて参加する場合は勇気がいるけれども、思い切って、普段とは違うコミュニティへと一歩踏み出してみましょう。

借金玉 ネットなんて、ダメだと思ったらすぐに逃げられるんだから、どんどん行きましょうよ(笑)。

精神科医が語る「発達障害だと恋愛や結婚は無理なのか」への納得の回答樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。最新刊は『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)。シリーズ70万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、16万部『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、10万部『神・時間術』(大和書房)など、30冊以上の著書がある。
YouTube「精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」
精神科医が語る「発達障害だと恋愛や結婚は無理なのか」への納得の回答借金玉(しゃっきんだま)
1985年、北海道生まれ。ADHD(注意欠如・多動症)と診断されコンサータを服用して暮らす発達障害者。二次障害に双極性障害。幼少期から社会適応がまるでできず、小学校、中学校と不登校をくりかえし、高校は落第寸前で卒業。極貧シェアハウス生活を経て、早稲田大学に入学。卒業後、大手金融機関に就職するが、何ひとつ仕事ができず2年で退職。その後、かき集めた出資金を元手に一発逆転を狙って飲食業界で起業、貿易事業等に進出し経営を多角化。一時は従業員が10人ほどまで拡大し波に乗るも、いろいろなつらいことがあって事業破綻。2000万円の借金を抱える。飛び降りるためのビルを探すなどの日々を送ったが、1年かけて「うつの底」からはい出し、非正規雇用の不動産営業マンとして働き始める。現在は、不動産営業とライター・作家業をかけ持ちする。最新刊は『発達障害サバイバルガイド──「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』