フランスでは上級社会を舞台にした未成年者への性的虐待を巡るスキャンダルが発覚し、大きな衝撃を与えている。これをきっかけに、未成年者が性犯罪の被害者になる温床とも指摘される文化的認識や法制度を見直す機運が高まっている。フランスの有力な政治家・知識人一家の一員、カミーユ・クシュネル氏は先月出版した回顧録の中で、憲法学者で元欧州議会議員でもあるオリビエ・デュアメル氏を告発。デュアメル氏はクシュネル氏の双子のきょうだいに対し14歳頃から性的虐待を加えていたと暴露した。こうした告発をきっかけに、デュアメル氏への刑事捜査が開始された。幼少期に性的虐待を受けたと訴える声も国内で広がった。エマニュエル・マクロン大統領は、未成年者との性行為に対する処罰強化を公約としてきた。国民議会(下院)は18日、成人と15歳未満の相手との間の性行為を無条件にレイプとみなす法案を可決する見通し。現行法では、性行為は合意に基づいたものではないことを被害者が証明しなければならないが、こうした負担が取り除かれることになる。