科学者たちは、新型コロナウイルス禍で世界が危険な段階に差しかかっていると指摘する。それは新たな変異株が増える環境が整う段階であり、感染の拡大を防ぐ取り組みを難しくする可能性がある。新型コロナウイルスは、世界の人口の一定部分が感染やワクチン接種によってある程度の免疫を持っているにもかかわらず、多くの地域で急速な感染拡大を続けている。科学者たちはこうした組み合わせ、つまりウイルスの高い感染率と人口の一部が免疫を獲得している状況の組み合わせが、感染力や致死率が高くなる恐れのある変異株の発生を促すと述べている。感染の一層の拡大は、ウイルスが進化する機会が増えることを意味するという。ベルン大学の分子疫学者エマ・ホドクロフト氏は、「すべての人々が免疫を確保していれば、ウイルス感染の広がりはほぼなくなり、ウイルスは状況に適応できなくなる」と指摘し、1つの人口集団の中で誰一人としてウイルスに免疫を持っていなければ、ウイルスに進化を強いる圧力は存在しないと語った。同氏によれば「その中間の状態、つまり人口の一部がワクチン接種を受けているか、一部がウイルス感染拡大に伴って免疫を確保している状況が、一種の危険状態になる」という。
ワクチン普及の遅れ、コロナ変異株の脅威拡大か
人口の一部が免疫を確保している状況、厄介なウイルスの変異を促す可能性も
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