アジア諸国は昨年、新型コロナウイルスの流行抑制で世界をリードした。しかし今では一部の国で、国境封鎖など感染拡大を防ぐための規制が足かせとなっており、世界経済の回復を主導する上で米国などに後れを取る可能性がある。中国、タイ、オーストラリアなどの国々は国外からの人々の流入を遮断し、外国から持ち込まれたウイルスを強力に抑え込むことで、感染拡大をほぼ食い止めてきた。各国の市民は通常に近い生活を送っており、その経済は一部の例外を除いて欧米諸国ほど深刻な打撃を受けていない。中国は昨年、国内総生産(GDP)の2.3%増を確保した。しかし、こうした成功により、多くのアジア諸国ではワクチン接種の緊急性が薄れた。コロナ感染者が少ないためだ。ゴールドマン・サックスの推計によれば、大半のアジア諸国では全人口に占めるワクチン接種済みの人の割合はごくわずかであり、集団免疫は2022年まで獲得できないという。ゴールドマン・サックスは、米国と英国では5月までに国民の半数がワクチン接種を終える可能性が高いとみている。