写真:ジョー・バイデン米大統領
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 半導体業界を悩ませている生産不足を解決するには、多額の資金が必要だ。さらに、資金以上の多くのものも必要になる。

 ジョー・バイデン米大統領は先週、半導体を含む重要サプライチェーン(供給網)を100日間で見直すよう求める大統領令に署名。これに加え、米半導体業界の増産を後押しするため370億ドル(約4兆円)の財源確保を目指すと表明した。支出計画の時間軸は明らかにしていない。この規模は半導体業界が今年単年ですでに予定している世界のウエハー製造装置向け設備投資額の半分強にとどまる。

 それでも、業界内の投資促進へ政府が大盤振る舞いに乗り出すとの見通しは、投資家に好感されている。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は今年これまでのところ、ハイテクのサブセクター指数で首位に立ち、6%余り上昇している。これに対し、ナスダック総合指数は1%高にとどまる。SOX指数構成銘柄のうち半導体製造装置を手掛ける10社の値上がり率は同期間に平均17%に達した。ファクトセットによると、半導体製造装置の年間売上高で最大手のアプライド・マテリアルズは年初来34%高と、S&P500種指数のハイテク銘柄で値上がり率トップだ。

 だが、政府の資金だけでは問題は解決しない。早急に解決しないことは言うまでもない。半導体製造工場の建設と装置配備には何年もかかる。技術ベースで追いつくのは単に資金力の問題ではない。調査会社S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると、米インテルがここ10年に投じた研究開発(R&D)費用は年間平均で台湾積体電路製造(TSMC)の6倍近くに達するにもかかわらず、最先端の製造プロセスではTSMCの後塵(こうじん)を拝している。