「解雇ですか?」

 ユウコさんが震える声で確認すると、「いえ、雇い止めです」と説明された。

 会社側は雇い止めの理由について、「コロナによる経営不振」と「あなたの業務ミスの多さ」だと告げた。

 そう言われたとき、その場ではユウコさんも「そうなんだ」と思った。ただ、後になって、10年以上も勤続してきたのに突然「業務ミスの多さ」と言われたことに、「いまさらなぜ?」と疑問も感じた。

「本当に仕事がない。生活できないから、短くてもいいので契約を更新してほしい」

 ユウコさんはそう訴えたものの、「(作業)効率優先なので」と突き放された。

「返事は10日くらい時間ください」

 そう答えるのが精一杯だった。

 所長は、来年以降の彼女の生活を心配するどころか、「パートさん同士で、この話はしないでください」などと口止めする念の入れようだったという。

労働契約法改正に伴う
無期転換ルールが無視されている

 これまでユウコさんは、パート契約で広告のデータ入力のオペレーターをしてきた。体の都合や能力的な問題などから、非正規の働き方を選ばざるを得なかったという。

「自分の特性上、単純労働の方が働きやすく、派遣では数カ月単位の不安定な就労になりやすいのでパート契約を選びました。これまでは、何度となく急な病休が入ったり介護で長期休職を余儀なくされたりしても、配慮してもらえた実績がありました。逆に、他の人が休みになったときに仕事が入るのはありがたく受けてきたから、今まで働いてくることができたのだと思います」

 こうして毎年、ユウコさんは契約を更新してきた。そこにコロナ禍がやってきて、手のひらを返したように会社から「辞めてくれ」と言われた。ユウコさんには、お互いの関係が一方的に破られたように思えた。