東京電力福島第1原子力発電所の事故から10年余りが経過し、核燃料業界はその製品の見通しがようやく回復する可能性を慎重に織り込み始めている。そうした楽観的見方の一部は既にカナダのカメコの株価に見て取れる。同社は、世界最大手のウラン生産者であるカザフスタンの国営企業カザトムプロムに次ぐ世界有数のウラン採掘会社の一つ。カメコの米国上場株は過去1年で約180%上昇し、2014年以来の水準に達している。カメコの純利益が前年比で増加したのは、酸化ウランのスポット価格が1ポンド当たり35ドル超でおおむね推移していた2015以来。以降、酸化ウラン価格はおおむね30ドルを下回っているが、急速に回復しつつあるようだ。核燃料市場調査会社UxCのデータによると、22日時点のスポット価格は1ポンド当たり29.60ドルと、1週間で7.3%上昇している。ウランはスポット市場ではなく、主に電力会社との契約で販売されている。UxCのジョナサン・ヒンズ社長によると、補助金を受けていない鉱山では、生産の総事業コストは1ポンド当たり10ドル~38ドルのレンジになる可能性がある。
ウラン市場、楽観視できる現実的な理由
将来の需要予測は難しいが、過去数年の供給引き締めが好材料に
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