「アメリカ頼み」の時代が終わる…円安・日米同盟、これからどうなる?【池上彰×増田ユリヤ】写真はイメージです Photo:PIXTA

日米両国の実務家たちは、「日米同盟はアジア太平洋地域の公共財」と捉えてきたが、トランプ大統領は大違い。日本政府の円安誘導政策を批判し、容赦なく関税を振りかざすなど、日本を特別扱いしない強硬姿勢だ。そんな指導者の登場で、今後の両国関係はどう変わっていくのか?※本稿は、池上彰、増田ユリヤ『『ドナルド・トランプ全解説:世界をかき回すトランプ氏が次に考えていること』(Gakken)の一部を抜粋・編集したものです。

「自由貿易」をふりかざして
日本を散々叩いたくせに…

増田ユリヤ(以下、増田):2期目のトランプのキーワードである「相互関税」は世界中にインパクトをもたらしています。日本にとっても大きな影響がありそうです。

池上彰(以下、池上):実は、戦後の日米間は「貿易戦争」の歴史もありました。日本の復興を手助けしてくれたのはアメリカだったけれど、日本が高度経済成長の時代を迎え、アメリカにとって脅威になってきた。特に、問題視されてきたのが日本の自動車でした。

 アメリカは自動車大国でしたが、1980年代、日本製の安くて性能のいい自動車がどんどんアメリカに輸入され、アメリカ経済、そしてアメリカのプライドを足元から揺るがしたんです。いわゆる「貿易摩擦」が起きました。

 アメリカは巨額の対日貿易赤字を出すことになります。アメリカ政府は日本に対して、輸出自主規制や数量制限などを求めるようになり、同時に農産物の輸入を迫りました。

増田:「日本製」に反発するアメリカの労働者たちが、日本車やカセットデッキを叩き壊す「ジャパン・バッシング」を行う映像を、よく覚えています。