この1年の金融市場の異様さを浮き彫りにする株式銘柄があるとすれば、それはフォークリフト向け燃料電池を製造する米プラグ・パワーだろう。それは奇妙な金融工学に彩られた物語だ。2020年初めは5ドルに満たない超低位株「ペニーストック」の地位にあったが、やがて米国の時価総額上位200社の一角に入った。クリーンな輸送手段(ただし環境評価は最悪)に投資マネーが殺到し、アマゾン・ドット・コムに数億ドルの利益をもたらした。現状そんなところだ。さらに言えば、プラグ・パワー株がバブルを経験したのはこの20年間で2度目となる。最も奇妙な点は、プラグ・パワーの昨年の売上高がマイナスだったこと。これはめったに達成できない業績だ。売上高ゼロ未満は通常、変則的な会計処理を行う住宅ローンファンドの一部でしか起きない。クルーズ船運営大手カーニバルは、昨年のある四半期の売上高がマイナスだったが、それは旅行キャンセルによる払戻金が多額に上がったという退屈な理由だった。
アマゾン御用達の燃料電池メーカーにみる熱狂市場
米プラグ・パワーの株価が1年で2000%も上昇し、売上高がマイナスになったのはなぜか
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