韓国が、議題で米国の主張を受け入れる場合には、これまでの立場の変更を余儀なくされる。逆に米国側の主張を受け入れず、議題で大きくもめることになれば、訪米日程がさらに遅れることになりかねない。

 しかも、日米首脳会談で明らかになったのは、米国が台湾問題を巡り中国に対してより強い懸念を表明するようになったこと、および同盟関係を技術や経済にも広げていることである。そのため文政権としては、いつまでも米中の間であいまいな政策を取っていては、米韓関係をマネージできなくなっているということである。

 要するに、文政権は米国に主導権を握られたまま、訪米交渉を行う立場に立たされたのである。

北朝鮮の非核化を巡り
韓国内に広がる懸念

 朝鮮日報によれば、米政権幹部は「対北朝鮮政策の再検討作業は近く完了する」「(これまで)日本側の意見を聞いてきたが、両首脳が最終的な調整を行う機会はなかった」と述べたとして、「その結論を今回の日米首脳会談を通じて引き出すという意味に解釈できる発言だ」と推測している。さらに韓国外交部OBは「韓国の運命と直結した米国の北朝鮮政策が日本との会談後に最終決定すれば、これは韓国外交政策の失敗を意味する」と指摘したという。

 日米首脳の共同声明では、「日米両国は、北朝鮮に対し、国連安保理決議の下での義務に従うことを求めつつ、北朝鮮の非核化へのコミットメントを再確認するとともに、国際社会に同決議の完全な履行を求めた」と記している。

 さらに、菅義偉首相は共同記者会見で「北朝鮮については、すべての大量破壊兵器、および、あらゆる射程の弾道ミサイルのCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄)へのコミットメント、そして北朝鮮に対して、国連安保理決議の下で義務に従うことを強く求めることで一致した」と明らかにした。

 韓国の文政権は、北朝鮮の非核化について米朝対話など朝鮮半島平和プロセス進展の中で解決していこうとの考えであり、「北朝鮮の非核化」ではなく「朝鮮半島の非核化」とい表現を使い、米国の核抑止力も含めた話し合いを想定している。

 しかし、日米で北朝鮮核問題の方向性を示したことで、韓国の主張が遠ざけられる可能性が高まっているとの懸念が韓国内で広がっている。