パターン3:道なき道や落とし穴など、困難な道で鍛える

 負荷のかかる坂道を何度も歩き、質の高い仕事ができるようになったら、より難易度の高い育成方法に移ります。今度は坂道どころか、整備されていない道なき道や、落とし穴がぼこぼこあるような道を歩いてもらいましょう。

 例えば、商品やサービスが顧客の期待通りではなく、トラブルになりかけたようなとき。上司である自分が出ていくのではなく、成長を期待する部下に任せるようにします。顧客から「返品する」「契約を打ち切りたい」と言われたときの対応は難しいものです。しかし、ここが管理職としての踏ん張りどころ。部下を成長させたいのなら、自分の考えをそのまま押しつけず、部下に自分の頭で考えさせることが大切です。

部下が取り組んでいる仕事をチームのメンバーに共有する

『テレワークで部下を育てる』片桐あい著 青春出版社刊 1540円(税込)『テレワークで部下を育てる』片桐あい著 青春出版社刊 1540円(税込)

 このように仕事を3つのパターンに仕分け、育成を目的に、習熟度に合わせて部下に仕事をアサインしていきます。

 例えば、入社2年目のAさんは今、パターン1の仕事量をこなすというミッションに日々取り組んでいます。この情報を共有することによって、チームのメンバーは「Aさんはよく頑張っているな」と応援する気持ちになるでしょう。

 あるいは入社5年目のBさんは現在パターン2の負荷のかかる仕事に取り組んでおり、最近は少しずつこなせるようになってきていることを、チームのメンバーに共有します。すると後輩のなかには、「次は自分もBさんのような負荷のかかる仕事を担当するようになるんだな」と気を引き締める者が出てくるかもしれません。

 メンバーのなかで最も経験のあるCさんは、パターン3の困難な仕事を任されて、問題解決に向けて奮闘しています。そう知った後輩たちは、「C先輩はあんなに難しい案件をひとりで解決していてすごい」「自分たちもああなりたい」と、尊敬の念を抱くことでしょう。

 チームのメンバーはそれぞれの動きを知ることによって、仲間を応援する気持ちや尊敬する思い、難しい局面を乗り越えようとする気力などが自然と湧いてくるようになります。

 こうしてほかの人がチャレンジする様子を共有することで、「あいつも頑張っている」「自分だけが大変なわけじゃない。よし、もっと頑張ろう」など、チームの一員としての思いがどんどん強くなり、自己重要感も高まっていきます。テレワークの環境下では、メンバーとの1対1の面談に加え、全体ミーティングを積極的に行い、他のメンバーがどんなことをしているか、それぞれの業務について共有を行うことが非常に重要なのです。

 自分が組織にとってどれほど重要な人材なのか、自他ともに認め、認められることは非常に重要です。そして、部下たちもまた、そのようなコミュニケーションを求めているのです。部下の「自己効力感」と「自己重要感」を高めるとともに、マネジャー自身もこれらの力を伸ばしていくことが、チームをより成長へ導くことになるでしょう。