新型コロナウイルスの感染拡大によって、テレワークが一気に広がった。デジタル音痴も影響して、働いていないことがバレるおじさん社員が続出している。特集『本当は怖い働き方改革』(全9回)の#1では、テレワークがあぶり出した「働かないおじさん」に迫る。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
ノートPCの電源ケーブルを
会社に放置したまま“在宅勤務”
オフィス机の上にある少し埃をかぶったパソコン(PC)の電源ケーブル。この黒い物体をにらみながら、若手社員はつぶやいた。
「この人、絶対仕事してないでしょ」
電源ケーブルの持ち主は、大手石油元売り会社の中高年社員。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、会社は社員たちにテレワークを促した。これを受けて、このおじさん社員も在宅勤務にシフトしていた。
自宅で仕事をするには、会社支給のノートPCが欠かせない。在宅勤務の社員たちは当然、ノートPCを持ち帰っている。このおじさん社員もノートPCはかばんに入れたが、電源ケーブルをオフィスに忘れてしまった。これでは家で仕事にならないはずだ。
ところが、本人がそのことに気付かないまま1週間以上、電源ケーブルはオフィスの机に置きっ放し。先に気付いた席の近い社員たちが、彼の机を冷ややかに見やる日々が続いている。
柔軟な働き方を促進するものとして、テレワークは働き方改革における目玉の一つに位置付けられた。都内の大手企業では、東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据えて本格的な導入の準備をしているところも多かった。五輪・パラリンピック開催期間中の交通混雑を緩和するためにも、国や東京都は導入を強く求めてきた。
コロナ危機の影響で五輪・パラリンピックは開催延期が決まった。が、それを待たずにテレワークは一気に広がった。
新型コロナウイルスに感染した従業員がいると判明した電通をはじめ、感染リスクを回避する危機対応として大企業を先頭にテレワークへのシフトが一斉に進んだ。従業員の出社を原則禁止した会社もあり、ビジネスパーソンたちは半ば強制的にテレワークを体験した。
このテレワーク、意外な副産物を生み出した。レガシー大企業にとりわけ多い「働かないおじさん」をあぶり出したのだ。
デジタル音痴も影響して、働いていないことがバレるおじさん社員が続出している。