2023年度の物価上昇率見通し
(2021年4月27日の金融政策決定会合)

2023年度の物価上昇率見通し(2021年4月27日の金融政策決定会合)出所:日本銀行

 先般、日銀は定例の金融政策決定会合を開催。この決定会合では、2023年度の物価見通しが1%にとどまる可能性を新たに公表した。

 これは、23年4月までの黒田総裁の任期中に、異次元緩和の目標であった2%の物価目標が達成不可能となったことを意味する。なぜ日本の物価は上昇しないのか。

 まず、重要なファクトの一つは、過去のインフレ率を見ると、1989年は消費税導入が物価を1.4%ポイントも押し上げているが、景気が過熱したバブル期(86~89年)でも、年平均インフレ率は0.6%にすぎなかったためである。また、90、91年は湾岸戦争、97年は消費税増税、08年は原油価格高騰の影響があり、これらの要因を除くと、平時にインフレ率が2%を超えたのは85年が最後である。