国際的な紛争地域で衝突が発生すると、直ちに停戦を要求し、当事者に交渉を通じた解決を求めるのが、これまでの米国の典型的な対応だった。だが、今回のイスラエルとパレスチナの衝突では、ジョー・バイデン大統領がこうした反応を示すのに1週間以上を要した。その要求でさえ、過去の事例より慎重なトーンだった。バイデン氏は停戦を「支持する」と述べるにとどまり、しかもイスラエルには自衛の権利があるとも発言したため、弱腰との批判を浴びた。バイデン氏が言葉を慎重に選ぶ背景には、イスラエル政府と民主党内で不満を抱える勢力との間でうまくバランスを取らざるを得ないとの事情がある。バイデン氏世代の政治家にとって、イスラエル政府との建設的な関係は長年の優先課題だ。一方、民主党内では中道派の議員でさえ、左派が抱えるイスラエルへの不満を共有するようになった。