写真:ダニエル・カーネマン氏ダニエル・カーネマン氏(写真)らによる新著は、人や組織が下す決断は私たちが思っているよりもはるかに一貫性がないことを教えてくれる(マンハッタンの自宅で6日撮影) PHOTO: BENEDICT EVANS FOR THE WALL STREET JOURNAL

――筆者のジェイソン・ツヴァイクはWSJパーソナル・ファイナンス担当コラムニスト

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 あなたの中にいる投資家は一人でない。あなたの中にはさまざまなタイプの投資家が同居している。

 損をしたときのあなたは利益が出たときと同じ人間ではない。先週、ビットコインで大損をした人に聞いてみればいい。気持ちが落ち着いているときや、ゆっくり休んで気力が充実しているとき、きちんと食事を取っているとき、注意力が働いているときの投資の仕方は、いらいらしているときや、疲れているとき、おなかが空いているとき、退屈しているときとは同じではない。夜と朝とで投資判断が異なることさえある。

 ダニエル・カーネマン、オリビエ・シボニー、キャス・サンスティーン各氏による新著「Noise: A Flaw in Human Judgment」(ノイズ:人間の判断の欠陥)は、人や組織が下す決断は私たちが思っているよりもはるかに一貫性がなく、むらがあることを教えてくれる。投資家なら誰でもこのことを頭に入れておく必要がある。そうでなければ、長期的な成果が一時的な思いつきや環境に常に束縛されることになる。