痛風発作につながりかねない
危険な、ある「飲み物」

 以下は筆者の完全な私見となる。痛風患者が増加傾向にあるのは、新型コロナによる環境の変化やストレス、運動不足なども考えられるが、加えて、あるアルコール飲料も要因ではないだろうか。

 前述のMさんとは別の痛風患者Bさんにも話を聞いてみたところ、長年第三のビールを飲んでいたが、飽きて2年ほど前から缶チューハイに移行、さらにアルコール度数が9%の「ストロングチューハイ」へ移行していたそうだ。

「価格が同じだったら、(第三のビールよりもアルコール度数が高い)ストロングチューハイ選ぶでしょう、普通は」――実にまっとうな言い分だ。

 だが、ここに落とし穴がある。もし、アルコール度数5%の第三のビールと同量の9%のストロングチューハイを飲んだ場合、アルコールの摂取量は2倍近く上がってしまう。前述のように、アルコール自体が尿酸生成を促進するため、Bさんの痛風発作リスクも2倍近く上がってしまうわけだ。

 今回の“禁酒令”でも注目されているノンアルコールビールは、日本生まれだ。誕生した2009年に興味本位で飲んでみたことがあるが、「ビール代わりに飲めたものではないっ!」と思った記憶がある。

 ところが、今、改めて各社のノンアルビールを飲み比べてみると、格段にうまくなっている。だが、問題は価格が高いことだ。スーパーやコンビニエンスストアのプライベートブランド(PB)の第三のビールやチューハイよりも高い。

これでは、人間の弱い意思の力では、チューハイを手に取ってしまうのは無理からぬことだと思う。ノンアルチューハイも含めたノンアル飲料がもっと安くなれば、痛風リスクが減る一助になるのではないだろうか。

 前出のMさん、1~2カ月ぶりに飲むごく普通の生ビールが至福で、某ビールメーカーの広告のような笑顔になるそうだ。本来、アルコールは人間にとってご褒美的は存在だったはずなので、1杯のビールで今まで感じることがなかった幸せを感じられるのは、それはそれで健全な飲み方といえるのかもしれない。

(筑前サンミゲル/5時から作家塾®、監修/くきどめ整形外科(東京都荒川区) 久木留伸典 院長)