中国では電気自動車(EV)の販売が4-6月期に節目を達成し、新車販売に占める割合が10台に1台を初めて超えた。だが、米テスラを除く外国勢は、自社EVが現地の競合に比肩することを中国の消費者に納得させられずにいる。ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)もその一つだ。上海と仏山にEV専用工場を建設し、年間合計60万台の生産能力を持つ。第3工場も建設中だ。VWは3月、中国でコンパクトスポーツタイプ多目的車(SUV)「ID.4」の納車を開始した。既存のガソリン車のEV化ではなく、EVとして設計された車両の生産に初めて本格的に取り組んだグローバルIDシリーズの第1弾だ。LMCオートモーティブによると、アウディやポルシェなどのブランドを持つVWグループは、中国市場で18%のシェアを守る立場にある。VWブランド単独では13%のシェアを持ち、中国で圧倒的な人気を誇るブランドとなっている。ID.4は、VWがEV革命によって中国での優位性を維持できるか、EV企業への転換が世に受け入れられるかを占う初期の試金石となる。