この砂漠の首都にある新型コロナウイルス病棟には何カ月も患者がおらず、急きょ設置された隔離施設には埃がたまっている。屋外でマスクを着用するという話はほとんど聞かない。検査で陽性者が1人も出ない日が何日も続く。ワクチンへの需要が乏しいことから、政府は多数のワクチンを国外に送った。どういうわけかコロナに忘れられてしまったニジェールへようこそ。西アフリカに位置するこの広大な国は、出生率と貧困率が世界でも高く、世界保健機関(WHO)からアフリカ大陸でのコロナ流行に対する脆弱(ぜいじゃく)性が最大級の国に指定されたこともある。国連はアフリカ大陸で数百万人が死亡すると予測していた。その後の1年間に多くのアフリカ諸国は感染「第3波」に見舞われ、新たな変異株の出現により感染者数が記録的な水準に達した。
コロナに忘れられた国、ニジェールの現在
暑く乾燥した気候や人口密度の低さ、世界で最も若い人口などが理由
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