ひろゆきが語る「電通は今後どうなってしまうのか」ひろゆき氏(撮影:榊智朗)

現在、テレビやYouTubeで圧倒的な人気を集める、ひろゆき氏。
29万部の大ヒットを記録しているベストセラー1%の努力』では、その考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をして、いかに彼が今のポジションを築き上げてきたのかを明らかに語った。
この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)

広告代理店は必要か?

 大手広告代理店「電通」の話題が絶えませんね。

 以前に、ある企業はテレビCMを打つのを一斉にやめたそうです。すると、一時的に売上が下がったものの、利益率はよくなりました。それだけ、広告代理店に支払うお金が売上を食っていたんですね。

 その代わり、店舗での話題づくりにお金を使ったり、ネットやSNSで拡散する仕組みを作ったりして、新商品をアピールするようになったそうです。

 それまでは広告代理店に丸投げしていただけだったのが、今度は、自社で頭を使って考えるようになったんですね。この流れは、どんどん広がっていくような気がします。どこの業界も厳しいですからね。いたるところで「広告代理店不要説」が叫ばれていることでしょう。

組織と個人の問題

 最近、電通が話題になっているのは、やはり「オリンピック開会式」についてでしょう。これは、個人の問題か、組織の問題か、2つに分けたほうがいいと思います。

 というのも、僕は「個人」を見るときは「性善説」、「組織」を見るときは「性悪説」と、それぞれ使い分けているからです。

 東大卒のエリートたちが集まっている財務省ですら、書類改ざんをするような問題が起こります。これは、個人1人1人は優秀でそれぞれ自分にとって正しいことを行なっているものの、結果として組織的に悪いことをしてしまっている最悪の例でしょう。

 1人1人が優秀なのに、なぜ不祥事が起こるのか。それは、組織の「存続」が先にあるからです。

 あの「オリンピックの開会式」は、おそらく組織的には正しいと思って作ったのでしょう。しかし、結果的にはかなり安っぽい出来になってしまいました。

 組織の「存続」を個人に押し付けるかどうか。それは、トップが決めることです。常に、組織を見るときは性悪説を持ってトップが悪いことを考えないかどうかを見張る必要があります。

トップの戦略が9割

 組織のトップを見るときに必要なのは、わかりやすいリーダーシップではありません。それを教えてくれるのが、フランスの英雄「ナポレオン」です。

 ナポレオンは、組織から根性論を排除したことで有名です。強いリーダーシップで熱っぽく語ることではなく、「ちゃんと計算ができた」のです。ナポレオンは、元々は大砲を使う砲兵でした。なので、常に計算で物事を考えて、戦略を立てていました。

 組織においては、トップによる「戦略」がちゃんと優秀であることが大事です。末端の人たちが頭を使っても全体には効果がありませんが、トップの判断はすべてを決定づけます。

 さて、電通は自社ビルを手放してリモートワークを前提の働き方にしようとしています。とはいえ、ビルを売って手放すわけではなく、その後はそのまま同じ場所を借り続けるようです。それだけを見ると、「相当、キャッシュ(現金)が欲しいだけなんだろう」「そんなに余裕がないのかな?」と考えてしまいますが、実際はどうなんでしょうか。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、29万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。