「中国化が止まらない香港で、移民ブームと公務員の大量辞職が起きる理由」で書いたように、公務員が続々と辞職している香港。さらに7月中旬、わずか10日ほどの間に区議会議員200人以上が辞職するという事態が起きた。辞職しているのは、香港の自治と市民の自由を求める民主派の議員たちだ。香港でいま何が起きているのか。(フリーランスライター ふるまいよしこ)
2021~2022年にかけて選挙イヤーとなる香港
香港は今年後半から来年にかけて「選挙年」となる。2021年10月にまず選挙委員会選挙、11月に最高議決機関の立法会議員選挙、そして2022年3月に行政長官選挙が行われる予定になっている。特に2019年後半を埋め尽くした反政府の声を直接引き起こすきっかけを作った林鄭月娥(キャリー・ラム)現行政長官が続投するのかどうかも気になるところだが、これらの選挙シーズンを前に香港社会にはすでに選挙結果に対する達観のようなものが漂っている。
この7月中旬にはわずか10日間ほどのうちに、区議会議員200人余りが辞職を宣言した。香港18区の区議会議員の定員は479人。すでに約45%が辞職したことになるが、林鄭行政長官は「支障はない。選挙を行う暇もないのでこのままだ」として乗り切る構えだ。確かに、前述したとおりこれから区議会選挙を挟み込むのはスケジュール的にはキツいが、しかしこの態度には多くの市民が「陰謀」を感じている。
というのも、この雪崩辞職は政府が意図的に引き起こしたものだからだ。