ジョー・バイデン米大統領が連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長人事について間もなく決断しようとする中、現議長のジェローム・パウエル氏は銀行規制や金融危機後の規則に関する実績が進歩派から批判されている。パウエル氏は議長就任後の4年近くの間に、大手行に対するストレステスト(資産査定)を見直し、銀行の規模に基づく規則を調整した。また、自己勘定取引を禁じた「ボルカー・ルール」など、金融危機を受けて導入した主要規制を簡素化した。だが民主党進歩派の一部は、パウエル氏率いるFRBは大手行にもっと厳しくすべきだと言う。2008年~09年の金融危機後に導入した規則にFRBが手を加えたことで、危機再来を防ぐべく2010年に制定されたドッド・フランク法(金融規制改革法)の影響が著しく弱まったと主張している。議会が可決した数兆ドルの財政支援や信用市場に対するFRBの緊急対策がなければ、銀行は昨年の新型コロナウイルス流行下で苦境に陥った可能性がある、との考えだ。