五輪「無観客」の大赤字Photo:picture alliance/gettyimages

日本人選手のメダルラッシュで東京オリンピックは盛況だったが、新型コロナウイルスの感染者は都内、そして全国で過去最高を記録し、医療崩壊の危機が近づいている。そして都民には、ほぼ無観客となったことによる大赤字の負担が待っている。これをめぐって都と政府が争うことになるが、都がすでに“ルビコン川”を渡っていることは、あまり知られていない。(元東京都選挙管理委員会事務局長 澤 章)

「ステイホーム」の半面、万単位の入国者
都民も国民も引き裂かれたむなしい17日間

 新型コロナウイルスのパンデミックが止まらず、医療崩壊が現実のものとなりかねない中、東京オリンピックが8日閉会した。万人単位の選手や関係者の接触が避けられないスポーツイベントの開催決行と、一般市民の「ステイホーム」という相矛盾するメッセージに引き裂かれた都民、そして国民の耳に、為政者たちの言葉がむなしく響いた17日間だった。

 パラリンピックは8月24日に予定通り開催するかという問題は残されているが、とにかく五輪閉幕を一区切りとして、メダルラッシュに沸いた国民感情は、あっという間に冷めていくだろう。そして、祭りの後に残ったのが膨大な負の遺産であることを改めて認識し、多くの都民がぼうぜんとすることになる。