澤 章
都民ファーストの会が10月3日、記者会見して明らかにした国政新党「ファーストの党」設立。政策も役員人事も勝敗ラインも連携する他の政党も説明できない残念ぶりで、注目度は低い。小池百合子東京都知事自身の意向ではないとの見方もあるが、果たしてそうか。いずれにせよ有権者には「小池新党」にしか見えない。

日本人選手のメダルラッシュで東京オリンピックは盛況だったが、新型コロナウイルスの感染者は都内、そして全国で過去最高を記録し、医療崩壊の危機が近づいている。そして都民には、ほぼ無観客となったことによる大赤字の負担が待っている。これをめぐって都と政府が争うことになるが、都がすでに“ルビコン川”を渡っていることは、あまり知られていない。

過労による入院から一転、東京都議会議員選挙のサプライズ応援で“子分たち”の窮地を救い、IOCのバッハ会長から誕生日をお祝いされるなど、全快とはいえないまでも、活力を取り戻しつつあるようにみえる小池百合子東京都知事。だが、入院時の詳細や、副知事への業務の引き継ぎについて、都は情報公開請求に対し「文書がない」と回答。“公人中の公人”たる東京都知事の入院が「ブラックボックス」のままなのだ。

小池百合子東京都知事が実質的に率いる都民ファーストの会は、7月4日投開票の都議会議員選挙で第1会派の座を失うも、「健闘」と評された。ただ小池知事は体調不良で、自民党や共産党が群雄割拠する中での議会運営は前途多難。小池知事にとって、もういいことは何もない。「落日の小池百合子」はやはり、国政復帰に軸足を移すのだろう。

小池百合子東京都知事が就任して5年。小池知事に、築地市場移転問題の担当次長に抜擢されるも、その内実や政治手法に嫌気がさした元都庁幹部が、著書『ハダカの東京都庁』(文藝春秋)を6月に出版した。内部に精通した元幹部だから知っている、小池知事の「7つの悪政」プラス1をお伝えする。
