「東京五輪やっぱり最高!」というマスコミの手のひら返しを警戒すべき歴史的理由Photo:Diamond

40年後の日本の子どもたちは
「東京五輪は日本を元気にした」と教えられる?

 2060年の日本――。

 ある小学校で、日本の近代史を学ぶ授業が開かれている。子どもたちに向けて、教師が誇らし気な顔でこんな説明をした。

「えー、前回勉強したように、2021年の日本は前年から続くコロナ禍よって経済が止められ、多くの国民は大変苦しい思いをしていました。しかし、そんな日本を元気にしたのは…そう、オリンピックですね。その理由はなんでかわかる?」

 教師が子どもたちを見渡すと、1人の少女が手を挙げて、ハキハキとした口調でよどみなく答えた。

「はい!日本のアスリートたちによるメダルラッシュで、過去最多の金メダルを獲得するなど、スポーツの力によって国民を勇気づけたからです。また、大会前には感染拡大の恐れがあると言われていましたが、菅義偉総理がリーダーシップを発揮して『安心安全な五輪』を見事成功させるというレガシーをつくって、日本のすごさを世界中に見せつけたからです」

 教師は満足そうにうなずくと、「そう、ここは日本人なら知っておかないといけない常識だからな。テストにも出るからしっかり覚えておくように」とつけ加えた。

 未来の日本で、こんな北朝鮮みたいな「ナショナリズム丸出しの思想教育」をしているわけがないだろ…とあきれる方もいらっしゃるだろうが、最近の社会ムードに鑑みれば、そこまで荒唐無稽な話ではない。