米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク氏が自動車業界を変えた点として、あまり語られていないのが財務報告に関するものだ。期待を上回る業績を上げるために見通しを低く設定するのは時代遅れであり、大金を投じた成長計画を喧伝するのが現在の主流となっている。この流れに与していない自動車メーカーのひとつが独高級車ブランドBMWだ。同社が3日に発表した第2四半期業績は好調だったが、多くの同業他社が行ったような通期の見通し引き上げはしなかった。BMWは下半期に分かっているリスクとして、半導体の供給不足と原材料の価格上昇を挙げた。同社の株価は約5%下落した。一方、今年1月に仏プジョーグループPSAと欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が合併して誕生し、JeepやRAMといったブランドを製造しているステランティスの株価は、約5%高となった。同社も好調な四半期業績を発表したが、BMWとは異なり、見通しを上方修正した。ステランティスは現時点で、半導体の供給がこれ以上悪化せず、同社の主要市場である米国や欧州で大規模なロックダウン(都市封鎖)が実施されないことを前提として、通期の調整後営業利益率を10%程度と見込んでいる。