新型コロナウイルスの感染者数が再び増加している米国では、家族やコミュニティー、友人の間でワクチン接種の有無をめぐる分断が深刻化している。ミネソタ州セントポール在住の弁護士、ハンナ・リンデボルグさん(30)は7月に2歳になる娘の誕生日のためにできるだけのことをしてやりたかった。昨年はコロナの流行で初めての誕生日を家族で祝うことができなかった。リンデボルグさんはコロナが流行してから初めて多くの親戚が集まるのを楽しみにしていたが、親戚の中にワクチンを接種しないことにした人がいることを知った。「そこからは坂を転げ落ちるようだった」。感染力の強い変異株「デルタ株」による感染が広がる中、ワクチン接種者はさまざまな場所で付き合う人と付き合わない人をこれまでより明確に区別している。一方、ワクチン未接種者は自身の健康に関する選択を行う権利を行使したことで仲間外れにされたりすることに憤りを感じている。こうした分断が家族や隣人、同僚間の関係に緊張をもたらしている。