中国の裁判所は11日、カナダ人実業家のマイケル・スパバ被告に対し懲役11年の判決を下した。中国政府はスパバ氏がスパイ行為を働いたとしているが、実際には中国共産党の人質外交の犠牲者だ。中国の警察は2018年12月、スパバ氏とカナダ人の元外交官のマイケル・コブリグ氏を逮捕した。彼らは運が悪かった。バンクーバー経由で移動していた華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)を、米国の要請に基づいてカナダ当局が拘束した10日後に、スパバ氏らは中国に滞在していたのだから。 米当局は孟氏が銀行詐欺と通信詐欺の罪を犯したとしているが、孟氏はこれを否定している。カナダの判事は2020年5月、同氏の容疑に関し、米国とカナダにおいては犯罪とみなすことができるとの判断を示した。それから1カ月もたたないうちに、中国はスパバ、コブリグの両氏をスパイ容疑で訴追した。スパバ氏の判決も、偶然この時期に出たわけではない。孟氏の身柄引き渡しに関する判断が間近に迫っている。判決文の曖昧な言い回しは、中国がスパバ氏の国外追放を望んでいる可能性があることを示唆する。それは、彼の拘束が政治的であることを示すもう一つのサインだ。
【社説】ファーウェイと中国人質外交の犠牲者
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